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第1土曜特集 肥満症――代謝異常から全身性疾患へのパラダイムシフト
トピックス
肥満症治療薬の適正な使用のために
For the appropriate use of anti-obesity medication
小川 渉
1
Wataru OGAWA
1
1神戸大学大学院医学研究科橋渡し科学分野代謝疾患部門
キーワード:
肥満症治療薬
,
適正使用
,
添付文書
,
最適使用推進ガイドライン
Keyword:
肥満症治療薬
,
適正使用
,
添付文書
,
最適使用推進ガイドライン
pp.1029-1033
発行日 2025年6月7日
Published Date 2025/6/7
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293101029
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近年,従来にない強力な減量効果を有する肥満症治療薬として,GLP-1受容体作動薬ウゴービ®(セマグルチド)およびGIP/GLP-1受容体作動薬ゼップバウンド®(チルゼパチド)が上市され,社会的にも大きな注目を集めている.多くの国では肥満症治療薬に対する保険償還が認められていないなか,わが国ではこれらの薬剤を保険診療下で使用することが可能である.しかし,最適使用推進ガイドラインにより,使用上の厳格な条件が課されている.一方で,自由診療における不適切な使用や健康被害の報道もあり,医療の基本に立ち返った適切な情報提供と安全管理が強く求められる.また,非肥満者による減量志向や,適応外の健康障害への使用の是非,さらに肥満者が抱える外見に関する心理的負担といった問題もあり,さまざまな医学的・倫理的課題が浮上している.今後,これらの革新的薬剤を社会としてどのように位置づけ,適正に活用していくかについて,医療界に加えて行政や社会全体を巻き込んだ幅広い議論が必要である.

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