特集 細菌,ウイルス,真菌―微生物学のパラダイムシフト―
【総論】
耳鼻咽喉科領域における耐性菌の現状と抗菌薬の適正使用
伊藤 真人
1
Makoto Ito
1
1自治医科大学耳鼻咽喉科学講座・小児耳鼻咽喉科
キーワード:
耐性菌
,
抗菌薬
,
適正使用
Keyword:
耐性菌
,
抗菌薬
,
適正使用
pp.245-248
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
耳鼻咽喉科の成り立ちは感覚器と感染症の診療科といわれている。その取り扱う感染症にはさまざまなものがあり,咽頭炎・扁桃炎・喉頭炎などの上気道感染症の割合が極めて高い。さらに中耳炎や副鼻腔炎,深頸部感染症なども気道感染症が周辺臓器に波及したものであるが,それぞれ異なる対応が必要である。これら感染症の80〜90%は,初期にはいわゆる“かぜ症候群”と呼ばれるウイルス性上気道感染症があり,この段階では抗菌薬は無効である。しかし症例によっては2次的に細菌感染症が惹起されて,中には重症化を起こしたり難治の経過をとる場合もある。1928年のSir Alexander Flemingによるペニシリンの発見後,細菌感染症の治療において抗菌薬は極めて重要な役割を果たしてきた。しかし,Fleming自身が予見したように,抗菌薬を使用することによって次々と薬剤耐性菌が出現してきた。そして,新規抗菌薬の開発が滞っている現状では薬剤耐性菌が人類にとっての新たな脅威となっている。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

