Japanese
English
特集 ストレス応答の分子メカニズム――最新知見と臨床応用への展望
DNA損傷応答機構とその関連疾患
DNA damage responses and related diseases
金尾 梨絵
1,2
,
益谷 央豪
1,2
Rie KANAO
1,2
,
Chikahide MASUTANI
1,2
1名古屋大学環境医学研究所ゲノム動態制御分野
2同大学院医学系研究科
キーワード:
DNA損傷応答
,
ゲノム安定性
,
DNA修復
,
DNA損傷チェックポイント
,
DNA損傷トレランス
Keyword:
DNA損傷応答
,
ゲノム安定性
,
DNA修復
,
DNA損傷チェックポイント
,
DNA損傷トレランス
pp.588-593
発行日 2025年5月17日
Published Date 2025/5/17
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293070588
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
遺伝情報の担い手であるDNAには,細胞内の代謝反応や活性酸素種などの内因性の要因,また紫外線,電離放射線,化学物質などの外因性の要因でさまざまな種類のDNA損傷が生じている.DNA損傷はゲノム不安定化を引き起こし,がん化や老化,細胞死の原因となる.細胞はゲノム安定性を維持するため,DNA修復機構,DNA損傷チェックポイント機構,DNA損傷トレランス機構を備えている.これらのDNA損傷応答機構が破綻した遺伝性疾患が多数知られており,臨床症状は高頻度の発がん,早老症,神経症状,発育異常,免疫の異常などさまざまである.がん細胞ではゲノムが不安定化しており,DNA修復機構やDNA損傷チェックポイント機構などが増殖に寄与しており,DNA損傷応答機構を標的とした抗がん剤の開発研究も進んでいる.細胞がDNA損傷というストレスにどのように対処しているのか,今後さらに研究が進むことで,疾病の原因の解明や治療法の開発につながることが期待される.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.