Japanese
English
特集 DNA修復による生体恒常性の維持
Ⅳ.がん治療における新たな方向性
DNA損傷応答を標的としたがん治療
Targeting DNA damage response in cancer therapy
細谷 紀子
1
Hosoya Noriko
1
1東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター放射線分子医学部門
キーワード:
ゲノム不安定性
,
相同組換え修復欠損
,
合成致死
,
PARP阻害剤
,
がんゲノム医療
Keyword:
ゲノム不安定性
,
相同組換え修復欠損
,
合成致死
,
PARP阻害剤
,
がんゲノム医療
pp.168-172
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201491
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
放射線治療や抗がん剤治療は,がん細胞のDNAに外的に二本鎖切断を付与することによって細胞死を引き起こすことを原理とする。二本鎖切断が修復されずに残存すれば細胞死が誘導されるが,細胞の持つDNA損傷応答機能によって修復できる場合には細胞は生き残る。がんにおいては,多様なDNA損傷応答の機能異常がみられる。この異常を逆手にとり,がんで特定のDNA損傷応答経路が欠損している場合に,代替で働いている別の経路を阻害することにより,がん細胞特異的に細胞死を誘導する治療法が実臨床で導入されている。また,特定の損傷応答経路を阻害してDNA損傷性のがん治療の効果を高める治療法も試みられてきた。本稿では,DNA損傷応答研究が切り拓いた新しいがん治療を振り返ると共に,今後克服すべき課題についても考察したい。
Copyright © 2022, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.