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連載 自己指向性免疫学の新展開――生体防御における自己認識の功罪・Vol.29
共生細菌によるIgE自然抗体の産生制御
Regulation of natural IgE production by commensal bacteria
北村 大介
1
Daisuke KITAMURA
1
1東京理科大学生命医科学研究所
キーワード:
IgE自然抗体
,
アレルギー
,
共生細菌
,
MyD88
Keyword:
IgE自然抗体
,
アレルギー
,
共生細菌
,
MyD88
pp.176-179
発行日 2025年4月12日
Published Date 2025/4/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293020176
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SUMMARY
IgE抗体はアレルギー反応の主要なメディエーターであり,通常,アレルゲンに対する免疫反応により活性化したB細胞から産生される.肥満細胞や好塩基球上の受容体に結合したIgEに特異的なアレルゲンが結合して細胞を刺激すると,さまざまな化学物質やサイトカイン等が分泌される.しかし,アレルゲンがなくてもIgEがFcεRⅠに結合するだけでこれらの細胞の生存・増加が促され,アレルギー疾患への感受性を高めることが知られている.筆者らは,自然にIgEが産生され血中で高値に維持されるMyD88欠損マウスをモデルとして,IgE自然抗体の産生機構を調べた.その結果,このマウスのIgEは肺のある種の共生細菌を認識すること,この細菌が肺で2型免疫応答を誘導していることがわかった.一方,MyD88欠損肺の非造血細胞から過剰産生されたCSF1がこの2型免疫応答誘導に必要なことから,正常ではおそらく他の共生細菌がMyD88を介して肺のCSF1産生を抑制し,IgE自然抗体産生を抑止していると思われる.

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