特集 気管支平滑筋の攣縮をめぐって
IgE抗体産生の機構とその制御へのアプローチ
岸本 忠三
1
1大阪大学医学部第3内科
pp.605-613
発行日 1980年6月15日
Published Date 1980/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203579
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ある種の気管支喘息や花粉症に代表される即時型アレルギーはIgE抗体によりひき起こされる1)。従ってこれらの疾患の発症を根本的に予防し治療する為には,IgE抗体の産生を制御することが必要である。
IgE抗体の産生もIgMやIgG抗体の産生と同じように2)Tリンパ球のヘルプを必要とする3〜5)。すなわち最終的にIgE抗体産生細胞へと分化するBリンパ球はヘルパーT細胞存在下に抗原で刺激されることにより初めて抗体産生細胞への分化増殖を開始する。しかし,IgE抗体産生にはIgMやIgG抗体産生にみられない種々の特徴が存在する。例えば結核菌アジュバントは,通常IgE抗体産生を誘導しえないし,またIgE産生に至適な抗原量は非常に少量であることが多い。このような特徴がどうして起るか,それは図1に示すように,IgE抗体産生にはIgEクラスに特異的なヘルパーT細胞が存在することが明らかになってある程度説明されるようになった6)。
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