けんさアラカルト
蠕虫とIgE産生
松田 信治
1
1京都府立医科大学医動物学教室
pp.1154-1155
発行日 1997年12月1日
Published Date 1997/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903298
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免疫グロブリン検査の結果,IgM,IgG,IgAの増減にかかわらず,IgEが上昇している場合がある.このような疾患にはどのようなものが報告されているのかを,さまざまな文献をもとにして,表にまとめてみた.さらに,それぞれの疾患のおおよその頻度を比べることができるように,寄生虫有卵者率1)(人口10万人対2,199.6人,1995年)を1とした場合の相対値を付け加えてみた.これからアトピー性疾患と寄生虫感染症の頻度がほかに比べて高いことがわかる.
次に血清中総IgE値を実際に測定したものを,いくつかの疾患について比較できるようにグラフにしてみたのが図1である.寄生虫感染症では総じて比較的高い値を示すことがわかる.ところが,寄生虫と一括されている病原体のうち,単細胞の原虫類の感染症では,一般にIgEは高値を示さない.線虫・吸虫・条虫といったいわゆる蠕虫類の感染でのみみられる現象である.
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