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特集 ひきこもりの病態理解とその対応
当事者の環境を “北風” から “太陽” へ
-――ひきこもり当事者の自己治癒力を育む環境づくり
The effectiveness of family psychotherapy in treating “hikikomori”
寺澤 元一
1
Genichi TERASAWA
1
1東京都精神保健福祉家族会連合会(東京つくし会)
キーワード:
ひきこもり
,
家族心理療法
,
関わり方
Keyword:
ひきこもり
,
家族心理療法
,
関わり方
pp.158-161
発行日 2025年4月12日
Published Date 2025/4/12
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293020158
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ひきこもりの当事者(子)を持つ家族(親)は,ひきこもりをどう捉え,当事者にどう向き合えばよいのであろうか.当事者は,生来の感受性の鋭さにより,対人関係を含む環境ストレス(学校のいじめや職場のハラスメントなど)を人一倍強く受け止め,それに適応しきれず,自尊心や自信を損ない,強い不安感に襲われて精神症状を伴い,ひきこもりに至るケースが多い.ひきこもりへの対応として,家族の及ぼす役割は大きい.家族は,ひきこもりを「当事者が周囲のストレスから傷ついた心を癒す過程」として理解し,当事者への関わり方を変えること(独特の対話法など)により,当事者に最も必要な安心できる環境を醸成する.当事者は,その中で自己治癒力を育み,やがて症状が軽減され,外に出ようとするのではないか.本稿では,イソップ寓話の “北風” と “太陽” の喩えを借り,筆者が親として息子への関わり方を “北風” から “太陽” にどう変えたのか,その結果として息子にどのような変化が現れているのかを紹介したい.

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