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第1土曜特集 健康危機への備えと対応――パンデミックと能登半島地震を踏まえた社会とシステムのあり方
基礎医学の視点から
わが国における新規ワクチン開発のためのヒト免疫モニタリングシステム構築の重要性
The significance of establishing a human immune monitoring system for vaccine development in Japan
上野 英樹
1,2,3
Hideki UENO
1,2,3
1京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学教授
2同高等研究院ヒト生物学高等研究拠点副拠点長
3同免疫モニタリングセンターKICセンター長
キーワード:
ヒト免疫
,
免疫モニタリング
,
抗体応答
,
細胞性免疫応答
,
京都大学免疫モニタリングセンター(KIC)
Keyword:
ヒト免疫
,
免疫モニタリング
,
抗体応答
,
細胞性免疫応答
,
京都大学免疫モニタリングセンター(KIC)
pp.35-40
発行日 2025年4月5日
Published Date 2025/4/5
DOI https://doi.org/10.32118/ayu293010035
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックでは,世界のさまざまな国々で独自のワクチン開発が進んだが,残念ながら日本ではタイムリーなワクチン開発が行えなかった.政府は感染症有事に国策としてワクチン開発を迅速に推進することを目的とする,先進的研究開発戦略センター(SCARDA)を新規に設置し,ワクチン開発と生産体制を強化するための国家戦略として「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点の形成事業」を開始した.本事業において,京都大学ヒト免疫サポート機関は,ワクチン開発を強力にサポートするために京都大学免疫モニタリングセンター(KIC)を立ち上げた.KICでは次のパンデミックへの備えとして,個人レベルでの “ヒト免疫” の解析をもとに,ヒト免疫システムの包括的な理解に向けた研究を促進している.ここでの基盤となるのが “ヒト免疫モニタリング” という考えである.本稿では,ヒト免疫モニタリングの内容,その重要性と,それを可能にするKICを含む国をあげた体制構築について概説する.

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