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第5土曜特集 脳科学研究が推進する うつ病の病態・診断・治療の発展
病態
うつ病の神経細胞新生仮説
Neurogenesis hypothesis of depression
朴 秀賢
1
Shuken BOKU
1
1熊本大学大学院生命科学研究部神経精神医学講座
キーワード:
成体海馬神経細胞新生
,
海馬歯状回
,
うつ病
,
グルココルチコイド
,
神経幹細胞
Keyword:
成体海馬神経細胞新生
,
海馬歯状回
,
うつ病
,
グルココルチコイド
,
神経幹細胞
pp.1041-1046
発行日 2025年3月29日
Published Date 2025/3/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292131041
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精神疾患で最も多いうつ病の治療は,生物学的精神医学の研究が発展した現在でも,効果が不十分なモノアミン仮説に基づく抗うつ薬が依然として主流であるという残念な状況にある.また,診断に役立つバイオマーカーがいまだに存在しないため,誤診が少なくないという問題もある.このため,モノアミン仮説に代わる新たな病態仮説に基づく治療法や診断法の開発が急務となっている.モノアミン仮説に代わるうつ病の病態仮説としてこの20年間にわたって注目されているのは,うつ病によって成体海馬歯状回での神経細胞新生が低下し,治療により神経細胞新生が回復するという,神経細胞新生仮説である.この仮説は基礎研究によって確立され,うつ病の病態生理や抗うつ薬の作用機序への理解を大きく発展させたが,さまざまな問題点も有している.本稿ではまず,成体海馬神経細胞新生の概要を紹介し,その後,神経細胞新生仮説を支持する研究成果を解説し,その問題点について議論する.最後に,抗うつ薬が成体海馬神経細胞新生を増加させるメカニズムに関する筆者らの研究を紹介する.

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