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はじめに
今日のストレス社会を反映するかのように,年間3万人以上もの人が自殺を図り,社会的に大きな問題となっている。その背景には,慢性的なストレスによるうつ病や不安神経症などの精神神経疾患があることが指摘されている。したがって,ストレスが生体に及ぼす影響を解明し,有効な対処方法を開発することには大きな意義がある。本稿では,実験的な慢性ストレスが生体に及ぼす影響を,われわれの研究結果を中心に,うつ病患者で報告されている神経内分泌システムの異常と脳機能障害にフォーカスを当てて述べてみたい。なお,本稿でのストレス負荷方法は,ラットに2時間の水浸拘束ストレスを1日1回,28日間連続的に負荷したものである(慢性ストレス)。また,一部の動物は,ストレス負荷直後の反応と区別し,慢性ストレスの結果として生じた病態であることを判断するために負荷後10日間の回復期間をおいた。このストレス負荷方法は,1回のストレス負荷では胃潰瘍を発生させる程の強度はないが,そのようなストレスが繰り返し負荷されるというものである。
Exposure to chronic stress is thought to play an important role in the etiology of depression. In this disorder, a disrupted glucocorticoid negative feedback system and brain dysfunction are indicated. However, the regulation of the brain-endocrine system by chronic stress is not fully understood. To address to this problem, we first investi-gated the effects of chronic stress induced by water immersion and restraint (2h/day) for 4 weeks on the neuro-endocrine system and brain function in rats.
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