連載 ケースから学ぶ臨床倫理推論・4
良心的拒否
新井 奈々
1
Nana ARAI
1
1東京大学医学部附属病院 患者相談・臨床倫理センター
キーワード:
海外渡航移植
,
診療拒否
,
良心的拒否
Keyword:
海外渡航移植
,
診療拒否
,
良心的拒否
pp.930-934
発行日 2025年3月15日
Published Date 2025/3/15
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292110930
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Case 海外で臓器移植を受け帰国し,その後の外来診療を希望している患者の対応
患者Aは海外で肝臓移植を受け帰国した.すでにいくつもの病院で断られているようだが,自分は違法な移植など受けていないと主張し,B病院の移植外科外来を受診させるよう迫っている.バックヤードでは,移植外科のC医師らが悩んでいた.
「海外で移植を受けているらしいが,もしかしたら違法な渡航移植かもしれない.こういった患者の診療を行うことは,違法な渡航移植という犯罪行為を助長する行為ではないだろうか.犯罪行為には抑止力が必要だろう.自分たちの病院もこの患者の診療は断るべきかもしれない」
このようなケースは,倫理的にどのように考えたらよいだろうか.

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