レポート【投稿】
診療拒否・退院請求・強制退院:裁判例レビュー
奥津 康祐
1
1東京女子医科大学医学部医療・病院管理学
キーワード:
応召義務
,
判例
,
医師法19条
,
診療拒否
,
退院請求
Keyword:
応召義務
,
判例
,
医師法19条
,
診療拒否
,
退院請求
pp.452-455
発行日 2011年6月1日
Published Date 2011/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101979
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要 旨 近年問題となる患者・医師関係の特に先鋭的な場面として,診療拒否・退院請求・強制退院がある.これらの法的関係の理解は重要である.診療契約は準委任契約とされるが,民法上,準委任契約は両当事者の意思が合致することによって成立し,また,各当事者はいつでも解除できるのが原則である.しかし,医師は正当な事由なく診療を拒否できないという医師法19条1項の応召義務規定がある.正当な事由とは何か,いかなる場合に診療拒否ができ,あるいは,できないのか.入院加療が不要な場合,満床の場合,専門医が不在である場合,医師の経験・自信不足や開業医の専門外の場合,診療費不払いの場合等についてこれまでの裁判例をレビューし,適宜検討を加える.また,常軌を逸した行動をする“自称”患者に対し,医療機関側が退院請求や強制退院の措置をとった事例も紹介する.本稿が,よりよい医療を提供できるような環境づくりに役立てられれば幸いである.
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