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1.人手不足下の電算機化
本稿を依頼され,軽く引きうけたものの,さて書こうとしてはたと困りました.新築して間もない病院だから,さぞや新式の充実した検査部になっただろうとお思いになったのでしょうが,見回したところ,自慢し得るものはなかなかみつかりません.技師は病床数の5%以下という少人数のうえ,外来は2,000人をこえる日も多く,一人当たりの作業量はトップクラスで,ゆっくりお茶を飲んでいる暇もありません.面積にしても計画の半分しか実現せず,廊下まで使って測定している始末です.機器類も特に目新しいものはありませんが,強いていえば,院内の総合電算機システムの一環として,検査部もこれに組み込まれたことです.これも他所でも行っており,特に御披露することもないのですが,人手不足に悩む検査部のやり方として,あるいは何らかの御参考になるならば幸いと,その一部につき述べさせていただきます.
まず部分的完成をみてから総合化するのが常道だそうですが,今まで何もしていないのに,一挙にやろうというので大変困りました.幸いにして検査部の電算化は普及していますし,総合システムの病院もいくつかあります.見学したり書類を集めたりして検討しましたが,困ったことに良い所をそのまま真似るわけにはゆかぬことがわかりました.当部は技師数が少ないうえに,電算化しても一人も増やしてくれない.すでに総合化している病院ははるかに人数が多いという基本条件が全く違います.また予算が少ない点もあります.この状態でやろうということになれば,"人力と機械力の調和""電算機の効率的な使い方は,できるだけ使わぬことだ"ということになるのですが,いざ実際に直面すると各入の物差しがかなりくい違っているから,なかなか一致点は見つかりません一受付から報告までの今までの方法や手順も変更しなければならぬが,これがまとまらない.また,電算機ならあれもできるはずだ,これもできるだろうとの医師側の要望に対しては,人にも機械にもそれだけの処理能力がないということにも悩まされました.
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