Japanese
English
TOPICS 移植・人工臓器
人工赤血球がひらく移植臓器保存の技術革新
Artificial oxygen carrier for organ preservation in transplantation innovation and revolution
松野 直徒
1,2
,
小原 弘道
1
,
阪本 靖介
2
,
笠原 群生
2,3
Naoto MATSUNO
1,2
,
Hiromichi OBARA
1
,
Seisuke SAKAMOTO
2
,
Mureo KASAHARA
2,3
1東京都立大学システムデザイン学部機械システム工学科
2国立成育医療研究センター臓器移植センター
3国立成育医療研究センター病院
pp.652-653
発行日 2025年2月22日
Published Date 2025/2/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292080652
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移植臓器に対する機械灌流保存
移植医療の大きな課題のひとつであるドナー不足を解決するために,欧米では高齢者,心停止ドナーなどの臓器に対して,単純な冷却保存ではなく,ポンプで臓器保存液を循環させる機械灌流保存が急速に臨床に導入されてきている.その理由は,灌流保存中に臓器の機能(viability)を客観的に測定・判断することで安全な移植手術が可能となること,また,臓器保存液に酸素や栄養,薬剤を入れ臓器機能を改善させることで虚血再灌流障害を軽減できることにある.灌流液に酸素運搬体は含まれないが,特に代謝臓器である肝臓は,低温領域で酸素化(hypothermic oxygenation perfusion:HOPE)することの重要性が,近年複数の臨床試験において証明された1).その有効性は,内因性免疫反応の抑制とされる.一方,常温灌流での臓器保存も可能となった.ブタ肝臓を1週間保存することに成功した例もあり,臓器の長期保存が現実味をおびてきている2).機械灌流保存は,移植における臓器保存での利用にとどまらず,その先にある,遺伝子や細胞を用いた臓器修復の可能性もみえてきた.
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