Japanese
English
特集 臓器移植――限界と挑戦
臓器保存の臨床への挑戦
Recent progress in clinical organ preservation, machine perfusion preservation
松野 直徒
1,2
,
石井 大介
3
,
岩田 浩義
1
Naoto MATSUNO
1,2
,
Daisuke ISHII
3
,
Hiroyoshi IWATA
1
1旭川医科大学肝胆膵・移植外科
2同移植医工学治療開発講座
3同小児外科
キーワード:
移植外科
,
臓器保存
,
機械灌流保存
,
マージナルドナー
Keyword:
移植外科
,
臓器保存
,
機械灌流保存
,
マージナルドナー
pp.684-687
発行日 2021年11月13日
Published Date 2021/11/13
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27907684
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移植免疫学と臓器保存学は移植外科の両輪とされてきた.しかし,増え続ける生体腎移植や低迷する臓器提供件数はわが国の臓器移植のきわだった特徴といえる.UW(University of Wisconsin)液による移植臓器保存は単純冷却保存法(CS)で十分であると考えられるようになり,わが国のこの学術領域は停滞した.ところが世界ではドナー不足のなか適応拡大が進み,いわゆるマージナルドナー(expanded criteria donor)が急増するに従い,機械灌流保存法が脚光を浴びるようになった.近年,多数の臨床比較研究において持続灌流保存(MP)がCSに比較し,術後の機能発現,生着率などの点で優れていることが判明し,入院期間の短縮など医療費抑制についても報告されてきた.また保存中に移植臓器のviabilityの判定が可能であるという大きなアドバンテージがあるとされる.保存温度もかならずしも低温ばかりではなく常識を覆すような常温灌流保存も行われるようになった.筆者らは,企業ととともに臨床グレードの灌流保存システムを製作し,わが国初の多施設臨床共同研究を開始したので,その成果を含め筆者らの挑戦を報告する.
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