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第3章 血液
[人工赤血球]人工赤血球の開発
東 寛
1
,
酒井 宏水
2
1旭川医科大学 小児科
2奈良県立医科大学 化学教室
キーワード:
リポソーム
,
人工酸素運搬体
,
血液代替物
,
first-in-human
Keyword:
リポソーム
,
人工酸素運搬体
,
血液代替物
,
first-in-human
pp.464-467
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_464
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Summary
・わが国で開発中の人工赤血球 hemoglobin vesicle(HbV)は,長年にわたる膨大な数の動物実験を経てその有効性と安全性が検証されている.
・HbVは,献血由来の赤血球からHbを分離・精製し,脂質二重膜で構成されたリポソームに内包したもので,血液型を問わず投与でき,かつ室温で2年間は保存可能である.
・既存の赤血球がすぐには使えない状況下の危機的大量出血の際に,赤血球製剤が利用可能となるまでの繋ぎとして本剤を投与すれば,救命率そして救命後のQOLの向上に寄与すると期待される.
・すでにHbV製剤の治験(phaseⅠ:first-in-human,最大投与量100mL)が終了し,現在,より高容量投与における安全性を検証するための治験の準備が進められている.
© Nankodo Co., Ltd., 2024