焦点 目的重視型保健師活動モデルの開発過程とその成果
保健師の能力・コンピテンシーに関わる研究の状況と課題
有本 梓
1
1東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野博士後期課程
キーワード:
能力
,
コンピテンシー
,
保健師
,
地域看護
,
公衆衛生
Keyword:
能力
,
コンピテンシー
,
保健師
,
地域看護
,
公衆衛生
pp.461-474
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100037
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はじめに
保健師は,さまざまな専門的能力を用いて活動している。国内では,保健師の活動(湯沢,1998)や機能(丸山ら,1999,2000)について検討がなされ,熟練保健師の事例から保健師の能力を抽出した研究も行なわれてきた(岡田ら,1997,1999;萱間,1998)。
欧米では,近年,看護職の能力について,コンピテンシー(competency)が着目されている(Bradshaw,1998)。コンピテンシーとは「組織の成功につながる個人の成果,貢献を生み出すもととなる知識,スキル,行動特性を整理し,基準化したもの」である(本寺,2000)。1970年代の米国で,心理学者McClellandが,職員採用の選考基準を作成する際に,優れた職員が発揮している能力を行動レベルでモデル化した(McClelland,1973)のが,コンピテンシーの起源である(本寺,2000)。日本でも,経営分野で活用されており,看護分野では2000年頃より病院での人事やキャリア開発に関連して関心がもたれはじめている。
しかし,わが国では,保健師の能力に関して,国内外の文献の比較検討はほとんどされておらず,研究の動向,国内外の保健師の能力の類似点や相違点は明らかでない。そこで,国内外での保健師の能力またはコンピテンシーに関する研究の傾向を把握し,保健師が地域看護活動を行なうための能力を検討する目的で,文献検討を行なった。
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