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第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
はじめに
Introduction
竹田 潔
1
Kiyoshi TAKEDA
1
1大阪大学免疫学フロンティア研究センター
pp.305-305
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050305
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- Abstract 文献概要
消化管に生息する腸内細菌(腸内フローラ)は長年その実態が不明であったが,次世代シークエンサーの開発や培養技術などの革新により明らかになってきた.腸内には,数にして10兆個を超え,種類にして1,000種を超える細菌が共生している.腸内細菌(腸内フローラ)は,体内に侵入する異物を非自己として認識し排除する免疫系にとっては,非自己そのものであるが,免疫によって認識・排除されることはなく,われわれと共生している.そして,これらの腸内細菌(腸内フローラ)がわれわれ宿主に作用し,健康維持に極めて重要な役割を担っていることが明らかになってきている.特定の腸内細菌が,腸管上皮細胞や腸管粘膜固有層に存在する免疫細胞,さらには遠隔組織の機能をも制御することが明らかになってきている.そして,その作用機構として,特定の腸内細菌の遺伝子の機能あるいは腸内細菌の産生する代謝物の重要性も明らかになってきている.さらには,共生する腸内細菌(腸内フローラ)のバランスが異常になることが,さまざまな疾患の発症や病態と深く関わることが明らかになってきた.腸内細菌(腸内フローラ)の急速な理解は,細菌学,免疫学,情報科学,代謝学,臨床医学など,さまざまな研究分野の先端研究者がそれぞれの専門知識・技術を駆使して協同し解析が行われることで進められてきている.
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