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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
糖尿病・脂質代謝
尿酸代謝異常症と内分泌疾患
Dysuricemia and endocrine disorders
久留 一郎
1
Ichiro HISATOME
1
1国立病院機構米子医療センター病院長
キーワード:
尿酸代謝異常症
,
内分泌疾患
,
尿酸トランスポーター
,
プリン分解
,
尿酸降下薬
Keyword:
尿酸代謝異常症
,
内分泌疾患
,
尿酸トランスポーター
,
プリン分解
,
尿酸降下薬
pp.789-794
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090789
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各種ホルモンは尿酸の産生や排泄に影響し,尿酸代謝異常症(dysuricemia)を引き起こす.甲状腺ホルモンの異常は尿酸の腎排泄を抑制し,骨格筋でのプリンヌクレオチド回路を活性化してATP分解を促進することで高尿酸血症を引き起こす.副甲状腺ホルモン(PTH)の異常は,腎臓ならびに消化管においてcAMP-PI3キナーゼ-Aktシグナルを介してABCG2の細胞膜局在に影響を及ぼす.また,骨格筋でのプリンヌクレオチド回路を活性化し,ATP分解を促進することで高尿酸血症を引き起こす.バーター症候群は代謝性アルカローシスやNa再吸収を介してURAT1を活性化し,高尿酸血症を起こす.抗利尿ホルモン(ADH)の分泌異常は,V1ならびにV2受容体を活性化することでGLUT9の発現低下とABCG2ならびにNPT1の発現抑制により尿酸排泄を促進し,低尿酸血症が生じる一方で,尿崩症ではV1ならびにV2受容体の機能不全により高尿酸血症が生じる.これらの原疾患を治療しても持続する内分泌疾患の二次性高尿酸血症は,尿酸降下薬による治療が必要である.
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