連載 Focus On
尿酸値異常=痛風ではない
-尿酸代謝異常症(dysuricemia)という概念
久留 一郎
1
1独立行政法人国立病院機構米子医療センター
キーワード:
血管内痛風
,
Jカーブ現象
,
尿酸代謝異常症
Keyword:
血管内痛風
,
Jカーブ現象
,
尿酸代謝異常症
pp.1352-1358
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_1352
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臓器障害と高尿酸血症,低尿酸血症ならびに尿酸のJカーブ現象を包括して,尿酸代謝異常症(dysuricemia)という概念に統一されようとしている.血管内痛風を含む痛風型では血清尿酸値が高いほどリスクが大きい.神経変性型では血清尿酸値が低いほど,神経変性疾患のリスクが大きい.慢性腎臓病・心血管疾患型では,臓器障害と血清尿酸値との間にJカーブ現象が認められる.これらの3型は血清尿酸値と臓器障害の関連を反映する.一方で,尿中尿酸濃度の上昇は尿路結石症,尿細管障害ならびに運動後急性腎障害を引き起こすため,臓器障害と関連があり腎尿路型と定義できる.尿酸値と疾患との関係はこれら四つの病型を有する尿酸代謝異常症として総括できる.尿酸値の異常を臓器障害のリスクとして体系的に捉える必要がある.
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