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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
糖尿病・脂質代謝
肥満,2型糖尿病とアディポネクチン/アディポネクチン受容体シグナル
Decreased adiponectin/AdipoR signaling in obesity and type 2 diabetes
小堀 勤子
1,2
,
岩部 美紀
3
,
山内 敏正
2
Toshiko KOBORI
1,2
,
Miki IWABU
3
,
Toshimasa YAMAUCHI
2
1東京大学医学部附属病院腎臓・内分泌内科
2同大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
3香川大学医学部生体分子医学講座生化学
キーワード:
糖尿病
,
肥満
,
アディポネクチン
,
アディポネクチン受容体(AdipoR)
,
健康長寿
Keyword:
糖尿病
,
肥満
,
アディポネクチン
,
アディポネクチン受容体(AdipoR)
,
健康長寿
pp.780-783
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090780
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肥満,糖尿病有病者数は世界的に激増の一途をたどっており,大きな社会問題となっている.こうした実態を受け,肥満,肥満関連疾患,インスリン抵抗性,糖尿病,さらには糖尿病合併症,生活習慣病の原因解明と,それに基づいた予防・治療法の確立が重要かつ急務である.肥満に伴って,脂肪細胞から分泌される生理活性物質であるアディポネクチンが低下し,全身でのアディポネクチンとアディポネクチン受容体(AdipoR)の作用が低下することが生活習慣病激増の主要な原因となっている.当研究室ではこれまでに,AdipoR経路の活性化はカロリー制限や運動を模倣する効果があり,糖・脂質・エネルギー代謝を改善し寿命延長効果を持つこと,肥満に伴う精子運動能低下を改善する作用を有することなど,その多彩な作用を報告してきた.また,AdipoRの立体構造を明らかにし,AdipoR作動薬のシーズとなる低分子化合物の取得に成功し,AdipoRを標的にした構造ベース創薬を進めている.AdipoR経路を活性化する方略が,糖尿病治療のみならず健康長寿の実現につながる可能性を期待したい.
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