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第5土曜特集 内分泌疾患の温故知新――日本内分泌学会創設100周年を目前にして
甲状腺
ゲノムからみた甲状腺癌と分子標的薬
Thyroid cancer from a genomic perspective and molecular-targeted therapy
光武 範吏
1
Norisato MITSUTAKE
1
1長崎大学原爆後障害医療研究所放射線災害医療学研究分野
キーワード:
甲状腺癌
,
ゲノム
,
ドライバー遺伝子変異
,
分子標的薬
,
癌ゲノム医療
Keyword:
甲状腺癌
,
ゲノム
,
ドライバー遺伝子変異
,
分子標的薬
,
癌ゲノム医療
pp.699-702
発行日 2024年8月31日
Published Date 2024/8/31
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290090699
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甲状腺癌の治療は長い間,外科手術と放射性ヨウ素内用療法が主体であった.1980年代より,細胞・分子生物学の発展とともに甲状腺癌のドライバー遺伝子変異が次々と解明され,さらに次世代シークエンシングの登場で,癌ゲノムの全体像が明らかになりつつある.甲状腺癌では,癌の発症・進展に関わるシグナル伝達経路を恒常的に活性化させるBRAF,RET,NTRK,RASなどの変異が発癌の初期よりみられ,さらにTERTプロモーターやTP53の変異が高度悪性化に関わっている.“分子” を標的とした治療法としては,約10年前より血管新生を主な標的としたマルチキナーゼ阻害薬が登場し,成果をあげている.さらに個々の患者のドライバー変異を遺伝子パネルで検出し,それに合った適切な特異的分子標的薬を投与する癌ゲノム医療がはじまっている.RET阻害薬,NTRK阻害薬はすでに使われており,まもなくBRAF阻害薬やMEK阻害薬も利用可能となる.甲状腺癌では治療につながる,いわゆるアクショナブル変異の割合が高く,分子標的治療の効果が期待されている.
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