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特集 量子生命科学の医学領域への展開
分子動力学シミュレーションによるメチル化酵素の機能異常メカニズム解析
Mechanism of methyltransferase disorder studied by molecular dynamics simulation
河野 秀俊
1,2
,
クマール アマラジート
1
Hidetoshi KONO
1,2
,
Amarjeet KUMAR
1
1量子科学技術研究開発機構量子生命科学研究所
2千葉大学大学院融合理工学府先進理化学専攻
キーワード:
メチル化酵素
,
分子動力学(MD)シミュレーション
,
がん化
,
アミノ酸変異
Keyword:
メチル化酵素
,
分子動力学(MD)シミュレーション
,
がん化
,
アミノ酸変異
pp.299-302
発行日 2024年7月27日
Published Date 2024/7/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290040299
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ヒストンメチル化酵素は,クロマチンの基本構造ユニットであるヌクレオソームをメチル化することによって,エピジェネティク状態を変える.メチル化酵素であるNSD2は,アミノ酸変異によってメチル化の異常をきたすことが知られている.筆者らは,がん細胞に特異的にみられるNSD2のアミノ酸変異の影響を,分子動力学(MD)シミュレーションにより解析した.その結果,メチル化は自己阻害ループの開閉で制御されているが,がん細胞に特異的な変異ではそのループが高頻度で開くようになり,それが原因となってメチル化の亢進が起こることが示唆された.また,このループの開閉はループと相互作用している疎水性パッチの形成と破壊によって起こることがシミュレーションによって示された.がん細胞に特異的なアミノ酸変異ではいずれもこの疎水性パッチが破壊され,自己阻害ループが開いた状態となることでメチル化が異常亢進することが示された.
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