特集 産業医学と臨床検査
Ⅱ.有害因子と臨床検査
2 化学的因子
19 臭化メチル,ヨウ化メチル,塩化メチル
松井 寿夫
1
Hisao MATSUI
1
1群馬大学医学部衛生学教室
pp.1447-1450
発行日 1984年11月1日
Published Date 1984/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912395
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□はじめに
臭化メチル,ヨウ化メチル,塩化メチルはいずれも飽和ハロゲン化アルキル化合物で,有機化学合成のアルキル化剤,害虫駆除用燻蒸剤,冷媒などとして用いられている.これらの物質は神経系障害を中心とする毒性を有し,すべて,毒物及び劇物取締法(厚生省)の対象物質となっている.さらに,臭化メチルとヨウ化メチルは,製造ないし取扱労働者の健康障害を防ぐために特定化学物質等障害予防規則(特化則,労働省)によって規制されている.健康障害を起こすような曝露は,主として職業性のものである.
職業性の中毒では従来から急性中毒が報告されてきたが,労働衛生上の対策により最近は低濃度曝露による慢性障害の予防が重視されるようになってきた.したがって,環境中低濃度物質の測定,低濃度曝露の際の生体代謝物質の測定,低濃度曝露による生体影響の検出などが重要となってきている.
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