特集 海の外へ渡る航行者を診る—アウトバウンドにまつわるetc.
【渡航医学トピックス】
❶蚊媒介感染症
氏家 無限
1
1国立国際医療研究センター 国際感染症センター
キーワード:
デング熱
,
マラリア
,
日本脳炎
,
温暖化
,
自然災害
Keyword:
デング熱
,
マラリア
,
日本脳炎
,
温暖化
,
自然災害
pp.1447-1449
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429204580
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病原体を媒介する蚊の特徴と気候変動などによる流行への影響
蚊は世界に約3,600種類、日本国内には亜種を含めると130種類が生息しているとされ、吸血行動は雌の成虫のみに認めるが、国内でヒトを吸血対象とする蚊はヒトスジシマカ(ヤブカ)、アカイエカなど、20種類程度とされる1,2)。これらの蚊が病原体をヒトに伝播する。
蚊の活動性は気温や日照時間などに依存しており、条件の変化に伴い幼虫の発育期間や成虫の寿命が変化する。具体的には、ヒトスジシマカが幼虫から成虫に発育する期間は、夏季では10〜12日であるが、気温が低い春先(4月)や晩秋(10月)では30〜50日を要する。また、ヒトスジシマカの定着には年間平均気温11℃以上が必要とされ、地球温暖化に伴って生息分布域は拡大している。日本国内での北限は、1948年頃は栃木県、1996年頃は秋田県から宮城県、2009年は岩手県、2015年は青森県と北上している1)。
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