特集 感染症の新たな脅威
蚊媒介性感染症
小林 睦生
1
1国立感染症研究所 昆虫医科学部
pp.449-453
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208215
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デング熱は毎年のように東南アジア,インド,中南米を中心に流行が起こっている.一方,臨床症状がデング熱と類似しているチクングニア熱は,2004年以降,インド洋島嶼国,インド,東南アジア等で流行し,2013年からはカリブ海諸国および南米で大きな流行が認められている.ウエストナイル熱は,1999年に突然ニューヨークで流行が起こり,2003年には1万人近い患者が発生した.最近,ヨーロッパ諸国でも流行が認められている.短時間で世界中を移動する患者や航空機等で運ばれる病原体を持った媒介蚊は,感染症の新たな侵入を容易にしている.日本脳炎は,日本での患者数は近年激減しているが,依然ウイルスの活動が西日本を中心に認められている.これらの問題を含めて種々の角度から蚊媒介性感染症の問題を明らかにし,世界的な流行状況を概説する.
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