特集 昆虫などによる健康問題
昆虫媒介による健康問題
小林 睦生
1
1国立感染症研究所昆虫医科学部
キーワード:
昆虫媒介性感染症
,
輸入症例
,
生活環境
,
温暖化
,
分布域拡大
,
発生密度
Keyword:
昆虫媒介性感染症
,
輸入症例
,
生活環境
,
温暖化
,
分布域拡大
,
発生密度
pp.420-424
発行日 2009年6月15日
Published Date 2009/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101702
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昆虫類が媒介する感染症
昆虫の体内で増殖した病原体が唾液中に移行し,吸血時に微量な唾液と一緒に体内に注入されて感染が起こるマラリア,デング熱,日本脳炎,ウエストナイル熱などの感染症,感染した昆虫の糞のなかに排泄された病原体を皮膚にすり込むことによって感染が起こるクルーズトリパノソーマ症,発疹チフス,塹壕熱(J1)などが知られている.これらの感染症を媒介する昆虫類はすべて人や野生動物から吸血する性質がある.
一方,環境内に存在する汚物などに存在する病原体を餌と一緒に摂食し,消化管に取り込まれた病原体が消化されずにそのまま排泄されて食品を汚染し,消化器感染症の流行に関わる昆虫が知られている.
これら体内で病原体が増殖して病気を伝播する昆虫類を狭義の媒介昆虫という場合があり,後者の物理的に病原体を運ぶ昆虫類を機械的伝播者と呼ぶことが多い.
2種類の方式による病原体媒介の代表的な昆虫と病気について概説を試みる.
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