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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管疾患と血管を標的とした治療法
網膜疾患における血管をターゲットとした分子標的治療
Molecularly targeted therapy for retinal vascular diseases
取出 藍
1
,
中尾 新太郎
1
Ai TORIDE
1
,
Shintaro NAKAO
1
1順天堂大学大学院医学研究科眼科学
キーワード:
血管内皮増殖因子(VEGF)
,
抗血管新生療法
,
糖尿病網膜症
,
加齢黄斑変性
Keyword:
血管内皮増殖因子(VEGF)
,
抗血管新生療法
,
糖尿病網膜症
,
加齢黄斑変性
pp.1156-1161
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131156
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1948年にMichaelsonは,眼内血管新生に関与するfactor Xの存在を予言し,分子生物学の進歩により,その因子が血管内皮増殖因子(VEGF)であることが解明された.これによりVEGF阻害薬が開発・承認され,以前は失明を免れなかった糖尿病黄斑浮腫や加齢黄斑変性など網膜血管異常により視力低下をきたす疾患において,患者の視力改善が可能となっている.一方,VEGF阻害薬の幅広い臨床使用により,抗VEGF療法における問題点や抵抗症例の存在も明らかになっている.そのため,第二世代とよばれる長期作用型VEGF阻害薬やアンジオポエチン-2とのバイスペシフィック抗体が開発され,よりよい臨床成績が期待されている.高齢化が進む先進国では視覚の質への需要は高まっており,網膜血管病に対する新たな視点での分子標的薬が望まれている.
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