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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
リンパ管の形成と関連する病態
リンパ管腫の増悪メカニズムに対する考察と展望
Discussion and perspective on the exacerbation mechanisms of lymphangioma
山本 誠士
1
Seiji YAMAMOTO
1
1富山大学 学術研究部医学系 病態病理学講座
キーワード:
リンパ管新生
,
囊胞性リンパ管腫
,
EGF(epidermal growth factor)シグナル
,
分子標的薬
Keyword:
リンパ管新生
,
囊胞性リンパ管腫
,
EGF(epidermal growth factor)シグナル
,
分子標的薬
pp.1056-1060
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131056
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難病指定されているリンパ管腫〔小児慢性特定疾病;16脈管系疾患,1脈管奇形(大分類),6リンパ管腫〕とは,リンパ管が形態異常を呈し,大小の薄壁囊胞を形成するものである.大型の囊胞を特徴とする囊胞性リンパ管腫は主に小児期に発生し,特に頭部,頸部,縦隔,腋窩に多いと報告されている.治療方法として,外科的切除と硬化療法があり,また,近年上市されたシロリムスは治療成績の向上という点で期待が大きい.これまで,囊胞性リンパ管腫の増悪分子メカニズムは不明であった.そこで筆者らは,マウスモデルを作出し,囊胞性リンパ管腫の増悪分子メカニズムの解明にチャレンジした.マウスモデルの分子生物学的な解析とヒト臨床検体の解析を行い,アンフィレギュリン(AREG)が増悪責任分子であることを同定した.さらに,マウスモデルに対する抗AREG抗体を用いた治療実験の結果,組織学的に正常マウスと同レベルまでリンパ管を退縮させることに成功した.今後の展望として,AREGに対する分子標的薬を創出し,実臨床で役立てたいと考えている.
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