Japanese
English
第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管構築と血管機能・病態
動脈管の分化と閉鎖の分子機序
Molecular mechanisms of remodeling and closure of the ductus arteriosus
横山 詩子
1
,
中山 俊宏
1
,
岡 沙由稀
1
Utako YOKOYAMA
1
,
Toshihiro NAKAYAMA
1
,
Sayuki OKA
1
1東京医科大学細胞生理学分野
キーワード:
動脈管開存症
,
血管リモデリング
,
プロスタグランジンE(PGE)
,
EP4
Keyword:
動脈管開存症
,
血管リモデリング
,
プロスタグランジンE(PGE)
,
EP4
pp.1002-1006
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289131002
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
動脈管は胎生期に肺動脈と大動脈をつないで胎児循環を維持する血管である.出生後には成人循環に移行するために動脈管は速やかに閉鎖するが,未熟児では動脈管の分化や閉鎖機構が未発達であることから動脈管開存症を発症し,生命予後が脅かされやすい.動脈管は血中酸素分圧上昇により収縮するが,完全に内腔が閉鎖するためには血管内膜肥厚に代表される組織構築の顕著な変化が必要である.近年,この動脈管リモデリングの機序が徐々に明らかになってきた.胎生期に胎盤で産生されるプロスタグランジンE(PGE)は,受容体EP4を介して動脈管平滑筋で弾性線維形成を抑制するほか,fibulin-1やヒアルロン酸の発現を誘導して内皮細胞由来のプロテオグリカンと相互作用することで内膜肥厚を形成させることが示された.従来の動脈管開存症に対する薬物治療は血管収縮のみを標的としているが,血管リモデリングの分子機序を明らかにすることで新規治療戦略につながることが期待される.
Copyright © 2024 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.