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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管構築と血管機能・病態
メカノセンシングを介した血管細胞の分化誘導
Differentiation towards vascular cells via mechanosensing
山本 希美子
1
,
安藤 譲二
2
Kimiko YAMAMOTO
1
,
Joji ANDO
2
1東京大学大学院医学系研究科システム生理学
2獨協医科大学医学部生体医工学
キーワード:
流れずり応力(shear stress)
,
伸展張力(stretch)
,
血流
,
ES細胞(胚性幹細胞)
,
内皮前駆細胞
Keyword:
流れずり応力(shear stress)
,
伸展張力(stretch)
,
血流
,
ES細胞(胚性幹細胞)
,
内皮前駆細胞
pp.978-986
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130978
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血管の働きはホルモン,サイトカイン,神経間伝達物質などのケミカルメディエーターだけでなく,血流や血圧に起因するメカニカルストレス(生体力学刺激;biomechanical force)によって調節を受けている.その調節は,血管を構成する内皮細胞や平滑筋細胞が血流に基づく流れずり応力(shear stress)や血圧に基づく伸展張力(stretch)を感知して細胞応答を起こすことで成立している.成熟した血管細胞だけでなく,未分化なES細胞(胚性幹細胞)もbiomechanical forceに反応し,shear stressやstretchによってES細胞の増殖能や血管細胞への分化能,マトリジェルにおける管腔形成能が刺激を受ける.最近,biomechanical forceが形質膜の物理的な性質を変化させることにより,形質膜を足場とする増殖因子受容体のリン酸化が影響を受け,shear stressとstretchが選択的に内皮細胞と平滑筋細胞に分化を誘導することが明らかになった.このことは,メカノセンシング機構を介してbiomechanical forceが生体や胚における血管形成の鍵因子として働く可能性を示している.
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