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第5土曜特集 血管・リンパ管研究の最前線と治療への展開
血管の形成と制御因子
抗血管新生因子
-――血管新生のブレーキ役としての血管新生抑制因子
VASH1 acts as a negative feedback regulator on angiogenesis
小林 美穂
1
Miho KOBAYASHI
1
1東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 病態生化学分野
キーワード:
ネガティブ・フィードバック制御因子
,
バソヒビン-1(VASH1)
,
微小管
,
脱チロシン化
,
細胞内輸送
Keyword:
ネガティブ・フィードバック制御因子
,
バソヒビン-1(VASH1)
,
微小管
,
脱チロシン化
,
細胞内輸送
pp.964-969
発行日 2024年6月29日
Published Date 2024/6/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289130964
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生体内では血管形成において恒常性が維持されており,血管新生促進因子と血管新生抑制因子のバランスが保たれている.強力な血管新生促進因子であるvascular endothelial growth factor-A(VEGF-A,以下,本稿ではVEGFと表記する)は,VEGFのネガティブ・フィードバック制御因子であるデルタ様リガンド4(Dll4),膜貫通型VEGF受容体1(VEGFR1)/可溶性VEGFR1(sVEGFR1),ダウン症関連因子1(DSCR1),ならびにバソヒビン-1(VASH1)などと協調的に働くことで,機能的な血管形成をもたらす.そのなかでもVASH1は,微小管を構成するα-チューブリンの翻訳後修飾である脱チロシン化を誘導する酵素活性を持ち,生命現象に広く関わる細胞内輸送を制御する機能を示す.VASH1は脱チロシン化を誘導することで,VEGFや線維芽細胞増殖因子2(FGF2)などの血管新生促進リガンド刺激に誘導される受容体のエンドサイトーシスを阻害し,血管新生促進シグナル伝達の活性化を抑制する.このようにVASH1はユニークな様式で血管新生を抑制するが,ノックアウトマウスでは個体寿命が延伸することから,その生物学的役割が注目されている.
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