シングルセル解析からみえてくる悪性リンパ腫最新の知見

Latest findings on malignant lymphomas provided by single-cell analysis

　近年，一細胞レベルでゲノム，エピゲノム，遺伝子発現，タンパク発現などを解析するシングルセル解析技術が急速に発展している．発生学，免疫学，腫瘍学などさまざまな分野で用いられており，新たな細胞種の同定，腫瘍内不均一性や治療抵抗性機序の解明，新規治療法の開発，ひいては，ヒトを構成する全細胞の遺伝子発現パターンをカタログ化しようするHuman Cell Atlas計画など，正常・異常にかかわらず医学・生物学研究の発展に大きく寄与している．悪性リンパ腫分野においても，シングルセル解析を取り入れた研究が数多くみられるようになった．本稿では，はじめにシングルセル解析を用いた研究を理解するのに役立つと思われる基礎知識について述べた後，実際にシングルセル解析が悪性リンパ腫研究に応用されている例について，最新の知見を基に解説する．