Japanese
English
特集 皮膚の悪性腫瘍――研究と診療の進歩
乳房外パジェット病の臨床と研究の最前線
Clinical and research advances in extramammary Paget disease
中村 瞳
1
,
木庭 幸子
1
,
奥山 隆平
1
Hitomi NAKAMURA
1
,
Yukiko KINIWA
1
,
Ryuhei OKUYAMA
1
1信州大学医学部皮膚科
キーワード:
乳房外パジェット病(EMPD)
,
表皮内癌
,
アポクリン腺
,
抗PD(programmed death)-1抗体薬
,
ErbBファミリー
Keyword:
乳房外パジェット病(EMPD)
,
表皮内癌
,
アポクリン腺
,
抗PD(programmed death)-1抗体薬
,
ErbBファミリー
pp.496-501
発行日 2024年5月18日
Published Date 2024/5/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu289070496
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乳房外パジェット病(EMPD)は主に高齢者の外陰部に生じる皮膚がんである.アポクリン腺の多い部位に好発し,肛門周囲や腋窩に発生することもある.早期には紅斑を呈し,次第にびらんを伴う局面となり,進行すると局面内に結節を生じる.多発することがまれでなく,診断に際し丁寧な視診が重要である.欧米での発生が少ないためUICC(Union for International Cancer Control)の病期分類は存在しないが,わが国では予後予測に有用と考えられるTNM分類案が提案されており,2個以上のリンパ節転移を認めるstage ⅢB以上の症例では有意に予後が不良であった.治療の第一選択は外科的切除である.進行期における化学療法は十分確立していないが,化学療法の有効例は集積されつつある.2024年に抗PD(programmed death)-1抗体薬の適応拡大が承認され,根治切除不能な進行・再発の本症に対しても使用可能になった.近年,ゲノム解析も行われ,治療標的の探索が進められている.
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