今月の主題 アスベストと中皮腫
話題
中皮腫治療の現状
武井 秀史
1
,
呉屋 朝幸
1
Hidefumi TAKEI
1
,
Tomoyuki GOYA
1
1杏林大学医学部外科学
キーワード:
悪性胸膜中皮腫
,
外科治療
,
抗癌剤治療
Keyword:
悪性胸膜中皮腫
,
外科治療
,
抗癌剤治療
pp.1033-1038
発行日 2008年9月15日
Published Date 2008/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101698
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1.はじめに
国内でのアスベストの使用量の推移に呼応して,胸膜悪性中皮腫の患者数は年々増加している.2006年に兵庫県尼崎市での工場近隣住民のアスベスト曝露によって,多くの悪性胸膜中皮腫患者が発生していることが報道されて以降,日本社会での関心も高まっている.しかしながら,悪性胸膜中皮腫に対する標準的治療はいまだ確立しているとはいえない.局所浸潤傾向が強いため,外科治療の果たす役割は重要といえるが,一方で,手術療法は侵襲が大きく,手術単独での予後が不良なことも事実である.有効な抗腫瘍効果を示すペメトレキセド(PEM)が,2007年に国内で保険適応になり今後,集学的治療が進んでいくことと期待されている.
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