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第5土曜特集 遺伝統計学の新潮流――新規創薬・個別化医療への挑戦
遺伝統計学の理論と実践
アジアにおけるゲノム医学研究
-――GenomeAsia 100K Project
Genome medicine in Asia
――GenomeAsia 100K Project
金 慧琳
1
,
徳永 勝士
2
Hie Lim KIM
1
,
Katsushi TOKUNAGA
2
1Asian School of the Environment, Nanyang Technological University
2国立国際医療研究センター
キーワード:
アジア人
,
ゲノム医学
,
遺伝的多様性
,
集団遺伝学
Keyword:
アジア人
,
ゲノム医学
,
遺伝的多様性
,
集団遺伝学
pp.1063-1067
発行日 2024年3月30日
Published Date 2024/3/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu288131063
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GenomeAsia 100K(GA100K)は,国際的な大規模ヒト全ゲノム解析プロジェクトであり,アジア人の遺伝的多様性を包括的に理解し,アジア人に適した個別化医療やゲノム医学の発展に寄与することを目指している.これは,主にヨーロッパ系集団に焦点を当ててきたゲノム医学研究の不足を補い,アジアの多様な集団に関する遺伝学研究を促進するための取り組みである.筆者らの研究から,GA100Kデータは既存のゲノムデータベースのバイアスを改善し,アジア人における疾患関連バリアントの正確な特定に寄与できることを示した.また,GA100Kデータを参照パネルとして使用することで,アジア人データのimputationの精度が向上する.さらに,マラリア感染率の高い地域から,感染に対するヒトの遺伝的な適応進化が明らかにされた.そして環境変化が人類の進化に与える影響の解明にも貢献している.今後も新しい集団試料の収集を通じて,包括的な理解とゲノム医学・ゲノム医療の発展に寄与することが期待される.
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