特集 今この研究が面白い!
第1章 呼吸器
[肺がん]肺がんにおけるリアルワールドデータの利活用
宿谷 威仁
1
1順天堂大学 呼吸器内科
キーワード:
リアルワールドデータ(RWD)
,
情報通信技術(ICT)
,
リアルワールドエビデンス(RWE)
Keyword:
リアルワールドデータ(RWD)
,
情報通信技術(ICT)
,
リアルワールドエビデンス(RWE)
pp.374-377
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika134_374
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
・臨床研究においては,個々の研究における適格基準・除外基準をクリアした患者のみが参加しているため,現実の臨床現場での状況との間に乖離が生じている.
・情報通信技術(ICT)の発展により,カルテ,検査報告書などの書類や,健康保険データベース,画像データなど,これまでアナログであった情報が電子化され,これらは実際の臨床現場の多様な患者集団の情報を包含しているため,新たな価値を生み出すことができる時代になってきた.
・こうした背景から,目の前の患者における医療情報,いわゆるリアルワールドデータ(RWD)を大規模かつ質が高い形で収集して利活用することが進んでいる.
・実際に,肺がんの分野においてもRWDを用いた研究が進んでおり,日本肺癌学会でもRWDの収集と利活用が行われている.
・より広範な患者集団のデータを収集できること,コストを削減できること,迅速にデータを収集できること,などの利点があるものの,データの品質と完全性,バイアスのリスク,倫理的・法的課題,などの課題もある.これらを解決する試みも進んでおり,今後もRWDの利活用が発展していくことが予想される.
© Nankodo Co., Ltd., 2024