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第1土曜特集 成人診療医にも知ってもらいたい小児神経疾患診療のポイント
金属代謝異常症
Inborn error of metal metabolism
清水 教一
1
Norikazu SHIMIZU
1
1西多摩療育支援センター
キーワード:
銅
,
セルロプラスミン
,
錐体外路症状
,
銅キレート薬
,
酢酸亜鉛
Keyword:
銅
,
セルロプラスミン
,
錐体外路症状
,
銅キレート薬
,
酢酸亜鉛
pp.800-806
発行日 2024年3月2日
Published Date 2024/3/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28809800
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本稿では,金属代謝異常症の代表的疾患であるウィルソン(Wilson)病について解説する.本症は常染色体潜性遺伝形式をとる銅蓄積性疾患である.原因遺伝子は染色体13番長腕13q14.3にあるATP7B遺伝子である.病態の中心は肝臓から胆汁中への銅の排泄障害であり,その結果,肝臓をはじめ,脳,角膜あるいは腎臓などに銅が過剰に蓄積する.代表的な臨床症状・所見は,肝障害,神経障害(錐体外路症状),そしてカイザー・フライシャー(Kayser-Fleischer)角膜輪である.その他に,精神症状や血尿なども出現しうる.診断は血清セルロプラスミン値の低下(20mg/dL未満)と1日尿中銅排泄量の増加(100μg/day以上,小児は1.5μg/kg/day以上)を確認する.これらの検査で診断が確定できない場合は,ATP7B遺伝子解析,あるいは肝銅含量の測定を行う.治療は,銅キレート薬(D-ペニシラミン,塩酸トリエンチン)あるいは亜鉛薬(酢酸亜鉛)にて行う.急性・慢性に肝不全に陥った症例は肝移植の適応となる.
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