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第1土曜特集 成人診療医にも知ってもらいたい小児神経疾患診療のポイント
遺伝性変性疾患
-――SENDA/BPAN(WDR45関連神経変性症)
Inherited neurodegenerative disorders
――SENDA/BPAN(WDR45-associated neurodegeneration)
熊田 聡子
1
Satoko KUMADA
1
1東京都立神経病院神経小児科
キーワード:
オートファジー
,
脳内鉄沈着を伴う神経変性症(NBIA)
,
レット症候群(RTT)
,
てんかん
,
ジストニア・パーキンソニズム
Keyword:
オートファジー
,
脳内鉄沈着を伴う神経変性症(NBIA)
,
レット症候群(RTT)
,
てんかん
,
ジストニア・パーキンソニズム
pp.807-811
発行日 2024年3月2日
Published Date 2024/3/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28809807
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Static encephalopathy of childhood with neurodegeneration in adulthood(SENDA)/β-propeller protein-associated neurodegeneration(BPAN)は,オートファジー関連遺伝子WDR45の変異により生じる神経変性疾患で,“脳内鉄沈着を伴う神経変性症(NBIA)” のひとつである.X連鎖性顕性遺伝性を有し,患者の多くはヘテロ接合性の女性である.小児期にはレット症候群(RTT)に類似した神経発達障害とてんかんを主徴とし,非進行性の経過を示す.しかし若年成人期に入ると,ジストニア・パーキンソニズムと認知症が新たに出現して急激に進行し,数年で臥床状態になる.頭部MRIでは,幼児期以降に黒質と淡蒼球への鉄沈着の所見がみられ,成人期には黒質がT1強調像にて特異的な所見を示す.小児期には療育とてんかんの治療を行うが,身体的には安定している.てんかん発作も思春期以後に軽減・消失することが多い.一方,成人期には神経学的退行に伴い摂食嚥下,呼吸を含む全身管理が必要となり,濃厚な医療・介護を要する.成人科への移行にあたっては,本疾患の成人期の経過や予後を家族に十分に説明したうえで引き継ぐ必要があり,小児科医と成人診療医の連携が重要な疾患である.
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