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第1土曜特集 膠原病のすべて
膠原病各疾患の診断と治療の進歩
関節リウマチ
-――診断と治療の進歩
Recent advances in the diagnosis and treatment of rheumatoid arthritis
橋本 求
1
Motomu HASHIMOTO
1
1大阪公立大学大学院医学研究科膠原病内科学
キーワード:
抗シトルリン化タンパク抗体(ACPA)
,
腫瘍壊死因子(TNF)
,
インターロイキン(IL)-6
,
CTLA4-Ig
,
生物学的製剤
,
JAK(Janus kinase)阻害薬
Keyword:
抗シトルリン化タンパク抗体(ACPA)
,
腫瘍壊死因子(TNF)
,
インターロイキン(IL)-6
,
CTLA4-Ig
,
生物学的製剤
,
JAK(Janus kinase)阻害薬
pp.400-406
発行日 2024年2月3日
Published Date 2024/2/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28805400
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関節リウマチ(RA)の診断および治療は,近年,大幅に進歩した.RAの早期診断に最も貢献したのは,抗シトルリン化タンパク抗体(ACPA)という特異性の高い自己抗体の発見である.ACPAはRA発症に先立ち何年も前から検出されるため,RA発症に向けたACPAの量的・質的な変化をとらえることができれば,さらにより早期の診断につながる可能性がある.RAの治療の進歩に最も貢献したのは,生物学的製剤とJAK(Janus kinase)阻害薬の治療導入である.生物学的製剤は腫瘍壊死因子(TNF)-α(以下TNF),インターロイキン(IL)-6レセプター,CD80/86といった単一の治療標的を持つ抗体製剤であり,薬剤により治療標的だけでなく構造特性や免疫原性が異なっている.JAK阻害薬はJAK-STAT経路を利用する複数のサイトカインシグナルを阻害する薬剤であり,JAK1/2/3またはTYK2の阻害について異なる選択性を持つ.リアルワールドデータを用いた解析により,これら薬剤の治療に最も適した患者像を見出すprecision medicineの確立が,現在の治療の課題である.また,これら作用機序の異なる複数の薬剤に対しても治療抵抗性のdifficult to treat RA(D2TRA)患者が存在し,それらの難治性患者の治療,RAの発症予防および治癒を目指した治療も求められている.
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