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特集 生体膜研究の基礎と応用
リン脂質スクランブラーゼによる脂質非対称性の変化と生理的な役割
Alteration of lipid asymmetry by phospholipid scramblase and its physiological role
茂谷 小百合
1
,
鈴木 淳
1,2
Sayuri MOTANI
1
,
Jun SUZUKI
1,2
1京都大学高等研究院物質-細胞統合システム拠点(iCeMS)
2京都大学大学院生命科学研究科細胞動態生化学
キーワード:
脂質非対称性
,
リン脂質スクランブラーゼ
,
TMEM16F
,
XKR8
Keyword:
脂質非対称性
,
リン脂質スクランブラーゼ
,
TMEM16F
,
XKR8
pp.816-821
発行日 2023年12月23日
Published Date 2023/12/23
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28711816
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何かのはずみで血管が損傷を受けると出血が起きるが,われわれの体には止血機構が備わっている.一次止血では活性化した血小板が損傷部位に凝集することで傷口を塞ぐほかに,二次止血のための足場形成の役割もあり,とても重要である.また,われわれの体を構成する細胞のうちおよそ1/100~200の細胞が日々死滅しているが,マクロファージによって貪食されることで速やかに除去される.死細胞が蓄積すると自己免疫疾患の原因となるため,死細胞の貪食もまたわれわれの健康維持には欠かせない.2つの現象の共通点は,リン脂質スクランブラーゼにより細胞表面の脂質二重膜非対称性を変化させることで引き起こされる,ということである.本稿では,脂質二重膜の非対称性維持とその変化の分子機構,リン脂質スクランブラーゼ研究の今後の展開について考察する.
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