技術講座 生化学
リン脂質の測定法
仁科 甫啓
1
1虎の門病院臨床化学検査部
pp.333-337
発行日 1987年4月1日
Published Date 1987/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204041
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リン脂質とは
血清リン脂質は肝臓で生合成され,血液中には蛋白と結合した可溶性のリポ蛋白の形で存在している.このリン脂質はコレステロールとは違い,一つの化合物を指すのでなく,図1に示したように,レシチン,スインゴミエリン,リゾレシチン,ホスファチジルエタノールアミンなどのいくつかのリン酸エステルの化合物の混合体の総称である.これらの化合物はおよそ65:15:10:5から成っている1).
図1の構造式からも明らかなように,これらの化合物中のリン含有量やコリン含有量はそれぞれの化合物によって異なっているため,リン脂質測定では化学法であれ酵素法であれ,ある程度のあいまいさが残ってしまう.そのため,かつてはリン脂質濃度は無機リン量で表示され,正常値も6〜12mgiP/dlなどと表現された.最近では他の脂質分析との対比の必要性から,無機リン値を25倍したレシチン換算値が用いられてきている.しかし,ここで注意しなくてはいけないことは,レシチンといってもエスエル形成している高級脂肪酸の種類によって分子量が異なってしまい,レシチンの分子量も規定できないため,レシチン換算値といってもあいまいさが残ってしまう点である.
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