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特集 脂質ワールド
Ⅱ.細胞膜と脂質
スクランブラーゼによる細胞膜リン脂質非対称性の崩壊
Disruption of phospholipid asymmetry on plasma membrane by phospholipid scramblases
鈴木 淳
1
Suzuki Jun
1
1大阪大学免疫学フロンティア研究センター免疫・生化学
キーワード:
スクランブラーゼ
,
ホスファチジルセリン
,
アポトーシス
,
Xkr8
,
TMEM16F
Keyword:
スクランブラーゼ
,
ホスファチジルセリン
,
アポトーシス
,
Xkr8
,
TMEM16F
pp.208-213
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200438
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細胞膜を構成するリン脂質は非対称性を有しており,ホスファチジルセリン(PS)は脂質二重膜の細胞質側に限局して存在している。この非対称的な分布は,フリッパーゼ(P4-type ATPase)によって担われており,ATPのエネルギーを用いてPSを細胞膜の内側に輸送している(図1)。一方,この非対称性は生体内の様々な局面において崩壊し,PSは細胞表面に露出する。活性化した血小板において細胞表面に露出したPSは,血液凝固因子が活性化するための足場として機能し,アポトーシス細胞において露出したPSは,マクロファージなどの食細胞によって認識,貪食されるためのeat-me signalとして機能する。これらPSの細胞表面への露出には,リン脂質を区別なく輸送するスクランブラーゼがかかわるとされていたがその分子的実体は長らく不明であった(図1)。本総説においては,筆者らが最近同定したリン脂質スクランブルを実行する膜タンパク質の機能を中心に概説する。
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