Japanese
English
TOPICS 加齢医学
毎日の温泉習慣が高齢者の “うつ” の少なさに関連
Association between habitual hot spring bathing and depression in Japanese older adults
山崎 聡
1
Satoshi YAMASAKI
1
1九州大学病院別府病院免疫・血液・代謝内科
pp.594-595
発行日 2023年11月25日
Published Date 2023/11/25
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28708594
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研究の背景と経緯
高齢になると,環境の変化に加え,加齢に伴う衰えや病気なども増え,“うつ” になりやすいと考えられている.日本では “うつ” など気分障害の患者数は増加傾向にあり,厚生労働省からは,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延前の2017年には127万人を上回ったと報告されている.世界204カ国の調査では,19,300万人だった “うつ” 病患者数はCOVID-19蔓延が始まった2020年だけで新たに5,320万人増加したと発表されている1).日本でもCOVID-19蔓延により2020年以降の自殺者は増加傾向にあり,自殺者には “うつ” など気分障害を患っている場合が多いことも知られている.高齢者の “うつ” は,生活習慣病や機能障害の増加,高齢者人口の増加による医療資源への過度な負担と自殺を含む死亡率の増加への影響が危惧される2).高齢者の “うつ” は日常診療では認知症との区別が難しいために診断が困難な場合が多く,生活習慣病を治療した後の医療費が高くなる要因となっていることが報告されている3).全身温熱療法が抗うつ薬の作用を誘発する可能性が報告されており4,5)温泉利用はじめ温熱療法は “うつ” を含めた気分障害の抑制効果が期待されてきたが,温泉利用と “うつ” の関連についての詳細は不明なままであった.
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