連載 Focus On
高血圧の温泉療法プログラム
山崎 聡
1
1聖マリア病院血液内科
キーワード:
温泉療法
,
温泉療法医
,
MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36®)
Keyword:
温泉療法
,
温泉療法医
,
MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36®)
pp.332-336
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika135_332
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九州大学病院別府病院の前田らが「アンケートによる65歳以上の別府市民の温泉利用状況と数々の疾患の既往歴との関連の調査」を施行し,温泉利用による複数の疾患の有病率の低下効果を報告した.また,筆者らはデータの再解析により「高血圧症」の既往の少なさに夜間の温泉利用が関連していることを見出した.後方視的検討で,夜(19~20時)に入浴した患者は昼(12~13時)や午後(13~18時)に入浴した患者と比べて,翌朝の血管収縮期の血圧が低下していた.アプリケーション調査では,65歳以上の回答者の温泉利用後の収縮期血圧および拡張期血圧の低下割合は65歳未満の回答者よりも有意に大きかった.介入試験を行ったところ,夜間の温泉入浴は,高齢の高血圧患者の入院後の睡眠評価改善と有意に関連していた.近年増加している高齢者心血管疾患の予防としての温泉利用の意義に関する社会への情報提供を目指し,厚生労働省の循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業(令和6年度)において「温泉利用による健康増進効果及び標準的なプログラムの開発に資する研究」が採択された.筆者は主任研究者として温泉療法のエビデンスの集積とそれに基づいた温泉療養指示書の改訂と普及,そして可能であれば温泉療養ガイドラインの作成を目指して研究を進めている.本研究班には日本温泉気候物理医学会の委員会の先生方にも参加いただき,学会主導のプロジェクトとして取り組んでいる.
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