Japanese
English
特集 肺癌に対する薬物治療の最前線
パラダイムシフトを迎えた肺癌の周術期治療
-――最新のエビデンス
Perioperative treatment of lung cancer undergoing a paradigm shift
鮫島 譲司
1
,
坪井 正博
1
Joji SAMEJIMA
1
,
Masahiro TSUBOI
1
1国立がん研究センター東病院呼吸器外科
キーワード:
非小細胞肺癌(NSCLC)
,
分子標的薬(TKI)
,
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)
,
術後補助療法
,
術前補助療法
Keyword:
非小細胞肺癌(NSCLC)
,
分子標的薬(TKI)
,
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)
,
術後補助療法
,
術前補助療法
pp.497-500
発行日 2023年11月18日
Published Date 2023/11/18
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28707497
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近年,分子標的薬(TKI)や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が臨床応用され,肺癌の標準治療の一角を形成している.また,抗体薬物複合体(ADC)の開発も加速しており,手術とこれらの新規薬物療法を組み合わせ,予後の改善を目指した多くの臨床試験が進行中である.ニボルマブを術前に投与するCheckMate-816試験とアテゾリズマブを術後に投与するIMpower010試験は,ICIが周術期の補助療法として有効性を示した最初の報告であり,これらは現在国内承認され,実臨床においても使用されている.さらに,第三世代上皮成長因子受容体(EGFR)-TKIであるオシメルチニブを術後補助療法に用いたADAURA試験において,5年全生存率(OS)がオシメルチニブ群88%,プラセボ群78%(ハザード比0.49)というめざましいデータが2023年6月発表され,EGFR-TKIの術後補助療法で統計学的有意かつ臨床的意義のあるOSの改善を示したはじめての第Ⅲ相試験となった.今後はリキッドバイオプシーによって微小残存病変(MRD)を測定することが可能になれば,新たな治療戦略につながっていくことが期待される.
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