特集 膵癌への挑戦
膵癌に対する周術期補助療法の意義
阪本 良弘
1
1東京大学医学部肝胆膵外科・人工臓器・移植外科准教授
キーワード:
浸潤性膵管癌
,
術後補助療法
,
術前補助療法
,
切除可能境界
Keyword:
浸潤性膵管癌
,
術後補助療法
,
術前補助療法
,
切除可能境界
pp.53-58
発行日 2017年1月20日
Published Date 2017/1/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.35.01_0053-0058
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
浸潤性膵管癌は消化器癌のなかで最も難治であり,わが国の2013年のがん患者の死亡数で肝臓癌を抜いて第4位となった1)。膵癌の治療成績の向上には集学的治療が必要で,術後補助療法に関するエビデンスは,米国,欧州,日本において行われてきたランダム化比較試験(randomized clinical trial;RCT)の結果から徐々に確立されてきた経緯がある。一方,術前に化学療法や放射線療法による補助療法を行い,腫瘍量を減少させたり,病期を低下させたりしようとする試みは1980年代から行われてきたが,その報告は限られたものであった2)3)。化学療法の大幅な進歩とともに,局所進行膵癌や切除可能境界膵癌の術前補助療法に関する第Ⅱ相試験の報告が2000年頃から大幅に増加した4)5)。しかし切除可能膵癌に対する術前補助療法の有用性を証明した第Ⅲ相試験はまだ存在しない。本稿では膵癌術後補助療法の歴史的変遷と,2016年現在の術前補助療法に関するエビデンスについて概説する。「KEY WORDS」浸潤性膵管癌,術後補助療法,術前補助療法,切除可能境界
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.