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連載 医療システムの質・効率・公正――医療経済学の新たな展開・Vol.14
医師数の地域差と将来予測
The geographic distribution of physicians and future projection
原 広司
1
Koji HARA
1
1横浜市立大学国際商学部,同大学院国際マネジメント研究科
キーワード:
医師数の地域差
,
医師偏在指標
,
医師数の将来予測
,
医師の高齢化
Keyword:
医師数の地域差
,
医師偏在指標
,
医師数の将来予測
,
医師の高齢化
pp.287-291
発行日 2023年10月28日
Published Date 2023/10/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28704287
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Summary
医師数の地域差を捉えるうえで,どのような測定スケール,測定指標を用いるかによって結果が大きく異なるため,目的や状況に合わせた測定が求められる.近年では,都道府県単位よりも二次医療圏単位を用いることが一般的になっている.測定指標では,これまでの「人口対医師数」から,性・年代ごとに異なる医療需要や医師供給を調整した「医師偏在指標」が作成され,施策の前提として用いられるようになった.そもそも,日本における医師数の地域差の問題は1990年代ごろから指摘され続けているが,是正の方向にはなかなか進まず,むしろ拡大する傾向がみられていた.さらに,医師数の将来予測に基づくと,2035年にかけて医師数の地域差は,より広がることが指摘されている.加えて,医師の高齢化の問題も深刻化し,医師が少ない地域の方が,より早く医師の高齢化が進展する.限られた資源のなかで適切な配分を行い,医療の地域差を是正するためには,実効性のある施策を模索し,適切なスケールや指標を用いて評価,改善していくことが求められる.
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