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骨盤臓器脱(POP)は,前腟壁,後腟壁,子宮頸部,腟尖部(子宮摘出後の場合)の1つ以上が下降することと定義される.POP手術には長い歴史があり,すでに行われなくなって久しい手術も多くあるが,現在では主に,経腟手術と経腹手術(主に腹腔鏡またはロボット支援手術)の2つの主流がある.子宮を懸垂する機能が損なわれているDeLancey分類レベルⅠ(以下,レベルⅠ)のPOPに対しては,仙骨腟固定術を代表とする腹腔鏡またはロボット支援手術による補強は効果的であると考えられている.一方,典型的な従来型手術である経腟手術の腟式子宮全摘術+前後腟壁形成術は,再発率が高いこと,腟壁の過剰な切除,狭小化を起こす懸念があることが指摘されており,レベルⅠ補強を行うことが理論上難しいこともあるため,行われる頻度が減少している.下垂の過半数はレベルⅠ下垂が原因であり,腟壁形成だけでは再発率が高いことも指摘されていること,レベルⅠ補強を追加することにより,POP再発率を高めずに生理的に近い修復が可能になると考えられていることから,POP手術において内視鏡手術の果たす役割は大きくなっている.仙骨腟固定術は人工物・メッシュを利用する手術であるが,メッシュの長期使用に関するデータが乏しいこと,異物反応やメッシュびらんの発生といった合併症がありうることが臨床上,問題になり,2022年に保険収載された腟断端挙上術は,内視鏡下で行われるnative tissue repair(NTR)であることから,臨床医にとっては習得しておきたい術式である.本稿では,POPに対して用いられる内視鏡手術として,傍腟形成術,腹腔鏡またはロボット支援下仙骨腟固定術(RSC),腟断端挙上術に焦点をあて,これら術式の背景,方法論,ポイントについて紹介する.
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